スペイン、2024年12月に新入国規則を導入

スペインへの訪問者に対する新しい入国規則は、プライバシーや混乱を懸念するなかで、さまざまな不安の声が上がっている。

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ヨーロッパで最も人気のある観光地のひとつであるスペインは、2024年12月2日から入国規則を強化する。勅令933/2021号の一部であるこの新しい規制は、旅行者のプライバシーへの懸念を高めつつ、国家の安全保障を強化することを目的としている。

新スペイン入国規定の内容

更新された規則では、スペインの宿泊施設プロバイダーとレンタカー会社は、宿泊客から広範な個人情報を収集し、報告しなければならない。これには、フルネーム、国籍、パスポートまたはID番号、生年月日、住所、連絡先、支払詳細、性別が含まれる。未成年者の場合、その両親または保護者は、同伴する成人との関係を開示しなければならない。ホテルのオーナーやレンタカー会社以外にも、賃貸物件やキャンプ場も新しい入国規則に従わなければならない。まず、これらの規則を遵守するために、企業はスペイン内務省に登録しなければならない。また、収集したデータを毎日報告し、少なくとも3年間はデジタル記録を保持しなければならない。違反した場合の罰則は100ユーロから30,000ユーロと厳しい。これらの措置は、治安を強化し、テロや組織犯罪などの脅威と闘うためのものである。

潜在的な問題と課題

しかし、スペインの観光業界のリーダーたちは反発している。スペインホテル・観光宿泊連盟(CEHAT)は、業務妨害やプライバシー侵害への懸念を表明している。業界の代表者たちは、この規則が観光客を遠ざけ、業務を複雑化させる可能性があると主張している。この法令が既存のプライバシー法に違反しているとして、法的措置を検討している団体もある。旅行者もまた、新制度の下で困難に直面するかもしれない。チェックインやレンタカー利用時のデータ収集が遅延の原因となり、休暇を始めようと躍起になっている旅行者をいらだたせる可能性がある。プライバシー擁護団体は、収集される広範な個人情報について、悪用や潜在的な侵害を恐れ、赤旗を掲げている。

ETIASとEESのスペインへの影響

スペインへの渡航に必要なこれらの新しい条件とは別に、イギリス人旅行者はパスポートの残存期間が10年未満でなければならない。また、パスポートの残存有効期間は出発日から3ヶ月以上でなければならない。現在、英国人旅行者はシェンゲン協定加盟国で180日間のうち最大90日間を過ごすことができる。これは渡航理由が観光目的である限り適用される。2025年に予定されている欧州渡航情報認証システム(ETIAS)の導入により、この状況はまもなく変わるかもしれない。ETIASシステムは、ヨーロッパに到着する前に旅行者を事前審査することで、セキュリティを強化することを目的としている。2025年には、スペインはEU出入国システム(EES)も導入する。EESはパスポートのスタンプ押印に代わり、出入国データを記録するデジタルシステムを導入する。さらに、指紋や顔画像などのバイオメトリクスデータも保存される。ETIASとEESは、EU圏外からの入国者に対し、バイオメトリクスデータと渡航前承認の提供を義務付ける。これらの取り組みは、厳格なセキュリティ基準を維持しながら、国境管理プロセスを合理化することを目的としている。

今後に向けて

こうした動きに対して、観光業界はさまざまな反応を示している。安全性向上のための措置を支持する企業がある一方で、スペインの評判への悪影響を警告する企業もある。混乱を最小限に食い止めるには、円滑な実施と明確なコミュニケーションが不可欠である。全体として、スペインの新しい入国規則は、観光業界と旅行者の双方にとって大きな変化を意味する。

Photo byMartijn VonkonUnsplash

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