米軍、EUの出入国システム導入に先立ち注意を呼びかけ

米軍当局は、EUが2025年10月に新しい出入国システムを開始するのに伴い、部隊に遅れに備えるよう警告している。

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米軍は、欧州連合(EU)の新国境システム開始に備えるよう、部隊とその家族に注意を促している。具体的には、2025年10月12日にEUは出入国システム(EES)を導入する。その結果、米軍関係者は、たとえ免除措置があったとしても、空港や国境での遅延の可能性に備えなければならない。

EUの出入国制度

EESは、シェンゲン圏の国境で、手動のパスポート・スタンプに代わってバイオメトリクス・データを収集する。これに伴い、スタンプの代わりにEU加盟国以外の国民から指紋と顔画像を収集することになる。

「EESは、シェンゲン圏に出入りする人々を追跡するのに役立ち、指紋や顔のデータを使って、オーバーステイや偽の身分証明書の使用、ビザなし渡航の悪用を阻止する」と欧州委員会はEESのウェブサイトで述べている。

欧州委員会によると、このシステムは最長3年間データを保存する。注目すべきは、このプログラムが参加29カ国の国境検問を近代化し、セキュリティを強化することを目的としていることだ。

一方、委員会は2026年4月10日までに完全実施するとしている。

米軍に対するEUの指針

全体として軍当局は、米軍兵士は依然としてEES登録の対象外であると強調している。具体的には、この保護は国防省の文民、扶養家族、NATO命令下の請負業者にも及ぶ。さらにこの免除は、欧州における米軍の権利を規定するNATOの地位協定に由来する。

しかし隊員は、軍のID、公式命令、有効なパスポートなど、適切な書類を携行しなければならない。当局は、パスポートの有効期限を少なくとも6カ月は保つことを推奨している。

EU旅行のヒント

とはいえ、国境での混乱は依然として起こりうる。自動化されたチェックは、軍事的免除に不慣れな警備員に不確実性をもたらすかもしれない。その結果、職員は待ち時間が長くなったり、乗り継ぎに失敗したりする可能性がある。そのため、当局は旅行者に対し、旅行中、特に飛行機を乗り継ぐ際には、時間に余裕を持つよう促している。

軍人は、渡航前に「電子入国審査ガイド(Electronic Foreign Clearance Guide)」を参照すること。その文書には、国別の入国要件と最新情報が記載されている。さらに、欧州軍司令部は、展開日間近にさらなるガイダンスを発表する予定である。

より広い意味合い

欧州当局は、このシステムが効率性を高め、テロ対策を強化すると主張している。EUは、EESが完全に稼動すれば、年間4億人以上の旅行者の入国を管理することになると予測している。さらに、ビザのオーバーステイを防ぎ、書類詐欺を減らすことも目的としている。

しかし、ヨーロッパに駐留する米軍にとっては、特に大きな賭けである。およそ10万人の米軍がドイツ、イタリア、スペイン、その他のシェンゲン協定加盟国に展開している。このシステムに何らかの不手際があれば、演習中や緊急時の部隊の移動が複雑になる可能性がある。従って、NATO同盟国とEU国境当局の間の調整は依然として不可欠である。

結論と次のステップ

軍関係者は明確だ。準備をすることでリスクを最小限に抑えることができる。適切な身分証明書を携帯し、公式のガイダンスを監視し、時間に余裕を持つことが重要なステップである。さらに、軍人に同伴する家族も、これらの習慣に従わなければならない。

EUは10月にEESの展開を開始し、2026年4月までに完了する予定だ。それまでは、米軍とその扶養家族は警戒を怠らないようにしなければならない。最終的には、意識と準備によって、国境の遅れが任務の即応性を損なわないようにする。

写真提供 ディエゴ・ゴンサレスアンスプラッシュ

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